貧困の連鎖をなくすには①

兵庫県から東京に引越しをしてきて驚いたことがある。
離婚世帯、及び貧困世帯に出会う確率が多かったからだ。兵庫県に住んでいる時は、地元には貧困家庭、職場には離婚者ばかりと、こんなにもたくさんいるのかと思っていた。
そして東京では、離婚している家庭であっても、両親とも正社員として子供を養っているのだろうと想像していたのだ。
しかし、私が会った方々は、非正規として働き、小学生のお子さんをシングルで育てていたり、旦那さんの収入が少ないからと、高校生のお子さんを育てながら、パートで働いていてたりと、細々と暮らしていた。
40代~70代の非正規で働く方々は、離婚家庭か貧困家庭なのかと思ってしまう程だ。
そして、そういった状況の方々にお話しを伺うと、子供が成人し、働けるようになっても、親子共々が貧困であるということが分かってくる。
貧困の連鎖はどうすればなくすことができるだろうか。

いま日本では六人に一人の子供が相対的貧困状態におかれているとされ、厳しい経済環境の中にある。子供の貧困率の上昇は、子供を養育している親の貧困率の上昇と密接に関蓮している。貧困から抜け出せない理由は様々提示されているが、私は、制度、精神、接触のこの三つの要因が大きいと思っている。

制度については、賃金、社会保障、税の問題など多々あるが、私は早急に手をつけないといけないこととして、離婚相手の養育費の支払いの義務化だと思う。
2020年今年の7月に政府は、女性活躍に関する「重点方針2020」を決定した。
その中に離婚後の養育費不払い問題を解消するため、法改正の検討を明記した。公的機関による養育費の請求権を巡り外国の法制度を分析し、制度見直しに向け法改正を検討する、とのことだ。
兵庫県明石市では、独自に「養育費取り決めサポート」の受け付けを始めた。家庭裁判所など現行の制度を活用できるよう、書類の書き方のアドバイスや手続きにかかる費用の補助によって支援するというものだ。また、調停調書などの取り決めがあるのに養育費が不払いの場合、一ヶ月分を立て替えた上で、相手側から回収する取り組みをスタートさせた。
東京都や大阪市、滋賀県湖南市なども、養育費の支払いが滞った場合に代わりに取り立てる民間保証会社との契約料を補助する制度がある。

ひとり親世帯の中で母子世帯、父子世帯では何が異なるのだろうか。
厚生労働省の人口動態統計によると、16年度のひとり親世帯の内、母子世帯が約123万世帯、父子世帯が約19万世帯だった。母子世帯の9割、父子世帯の8割は、離婚や未婚などの理由でひとり親世帯になったと推定されている。いずれも親の8割以上が働いているが、平均年収は父子世帯の420万円に対し、母子世帯は243万円と大きな差がある。にも関わらず、母子世帯の中で養育費の支払いを受けていると答えた母子世帯は全体の24.3%だった。「逃げ得」がいかに多いことだろうか。
養育費の回収が確実に行われるように、自己責任から行政のサポートに変わる必要があるだろう。

次回は精神について記載します。

注:相対的貧困とは国や社会、地域など一定の母数の大多数より貧しい状態のこと。ここでは、相対的貧困を貧困の定義としています。


岡田恵
兵庫県尼崎市出身。
中学生の頃から学校や家庭での性別役割に疑問を感じ、大学在学時に女性学と出会ったことがきっかけで、メディアとジェンダーについて研究を始める。その後、兵庫県男女共同参画アドバイザー養成塾に通い、兵庫県男女共同参画推進員となる。現在東京都在住の会社員。

育児は女性がするものという先入観に捉われてない?

ある会社の求人にこう書いてあった。育児休暇の取得実績はありますか?という求職者の問いに対し、「育児休暇取得により、その後も仕事を続けている女性社員は多くいます」と。
育児は女性がするものだということを強調する表現である。

求人広告は企業の広報ブランディングといってもいいものだが、未だなお、表現のガイドラインが守られてはいない。

今年の一月、小泉進次郎議員が12日間の育児休暇をとったことが報じられた。
男性の育児休暇の取得そのものを特別なこと、珍しいこととして取り上げてはならない。
男性の育児参画が「特別なこと」となってしまい、ますます一般市民の育児休暇が取りづらくなる。

「育児休暇をとって子供たちと触れ合う時間を大切にしています」と話す二人の女の子を子供にもつ、ある男性に会った。
仕事は制作会社でのカメラマン。パートナーは看護士さん。育児休暇をとった理由は、パートナーの方が給与がいいからとのことだった。至ってシンプルだ。
育児の楽しさを実感したその男性は、自身の体験を元に、地域で育児参画への推進活動をしている。

育児をするにあたって性別は関係ない。子供を育てるという権利は誰しもがもっている。
女性が育児をするのが「当たり前」であったり、男性が育児をすることが「特別」であったりすることは決してない。性別に関係なく、育児を当たり前とするには、それを前提とした上で、万人に対し、仕事と育児の成功体験であったり、企業の取り組みの事例を紹介したりするなど、育児そのものが参画しやすいメッセージを発信する方がよい。

育児=女性という表現がなぜ出てきてしまうのかについても考えてみたい。
日本の女性の労働力率は30代で一時低下する。一人目の出産を機に一旦離職し、再就職をする女性が多い。
これをアルファベットのMにたとえて女性のM字型就労と呼んでいる。かつてM字就労は先進国に見られた現象であったが、今では日本を含む少数の国でのみ見られる現象になっているようだ。
就業率の落ち込みは、女性の結婚や育児期にみられていた。しかし現在、離職する主な理由として、結婚や出産よりも、仕事や行き詰まり感にあるという調査結果が出てきた。
女性に十分な能力開発の機会を提供していない企業側に理由があるというものだ。

つまり、企業は、女性は結婚や出産で離職するとして、男性と同じキャリア形成の機会を提供してこなかった。
企業にとって、育児休暇は離職をくい止めるための予防策であるため、離職をするのは女性という思い込みが、育児=女性を生み出しているのだと思う。こういった表現は企業自ら、「自社では女性の離職が高いんです」あるいは「自社では女性の離職が高いという偏見をもっています」といっているようなものだ。

性別の隔たりのない育児参画の実現は、伝達する側の表現から変えよう。
就職活動をしている皆さんは、就活リテラシーをもって臨んでもらいたい。


岡田恵
兵庫県尼崎市出身。
中学生の頃から学校や家庭での性別役割に疑問を感じ、大学在学時に女性学と出会ったことがきっかけで、メディアとジェンダーについて研究を始める。その後、兵庫県男女共同参画アドバイザー養成塾に通い、兵庫県男女共同参画推進員となる。現在東京都在住の会社員。