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【イベントレポ:後編】日本メディアの歪んだ「ジェンダー問題」について考えよう!第1回ジェンダー☆ラボ


「消費されて終わり」の炎上問題

勝部:ジェンダーとはあまり関係が無いかもしれないがメディアと視聴者(国民)の問題がすごく強いと思っている。炎上のケースとか、今スポーツ選手のパワハラが話題になっているが、あれもすぐ消費されて終わりになってしまう。喉元過ぎればは正にその通りで、日大の問題など、みんなあれだけ怒っていたのに今はもう誰も意識していない。ターゲットにされるとぶわーっと広がってみんなが問題だ問題だと騒ぎ立てるけれども、東京医科大学の問題だって今ではさっぱりテレビで取り上げられなくなった。お祭り騒ぎだけをしたい人がいるのは事実。これは非常にまずいとは思うが、日本のテレビがワイドショー中心になっている以上、正直言って変わらない可能性もある。

本来、メディアがもっとしっかりしなければならないのだが、結局メディアもマーケッターなので、そういうネタが大好きな国民がたくさんいるという結果なのだと思う。そこを変えないといけないし、そこを変えるための教育も変えないといけないといった大変な問題。

苦労賛美が大好きな日本社会

篠原:日本人は感動を求める層が一定数いる。一時炎上したのぶみ氏の「あたしおかあさんだから」という母親の苦労を賛美する歌に対して、私自身はすごく気持ち悪いと思ったが、対して「すごく感動した」と言ってくる人もいる。感動したい層が多いからのぶみ氏は作るといった形でどんどんどん再生産している。それを聞いた全然関係なかった人たちも影響されていく。

日本人は苦労をしている人に共感しやすい側面がある。朝ドラでも苦労話が称賛されているし、甲子園の高校野球でも熱中症でどんどん選手が倒れているにも関わらず「やっぱり暑い中がんばっている姿を見たいよね」とう層が一定層いる。

感動という名の元に有害なものがどんどん生産されている流れになっているように思うがこれに対して2人の意見は?

勝部:甲子園の件はアメリカであれば虐待に値するもの。人権をオーバーしてしまったがんばりに対してもっと意識していく必要がある。
ただ、実際にそういう問題がどんどん顕在化している部分もあると思う。

日大のアメフト問題だって、ここまで放置されてきたのは必死にがんばる姿をみんなが好んでいたから。そして最近ようやく変わってきたのが組体操のピラミッド問題。あれは本当に危険性があると昔から指摘する人がいたにも関わらず、一部の親の中でどうしても10段ピラミッドが見たいという層が一定数いたっていうところが大きい。こういった問題の改善は非常に難しいし、政治で規制するというのも違うのかもしれない。やっぱり人権教育というものに対して子供だけではなく大人も考えていかなくてはならない。
変えていくにはおかしいということを表明し続けていくしかないのかなと思っている。先程の甲子園の件は毎年毎年声が大きくなっているので、もうそろそろ変わりそうな気がしている。

で、24時間テレビに関しても、やっぱり障害者に対して賛美しているが、当事者の9割が嫌っているという事実があり、本当にがんばっている側面しか見せていない。実際は障害者差別等があるにも関わらず、そこには一切触れていない。

平和平和と謳っているが、障害者ががんばって平和をつくるよりも、加害者の加害がなくなる方が平和になる。その辺のストーリーを見せてほしいなと思う。

政治もメディアも国民のレベル以上にはならない

篠原:時が経てば変わる?

勝部:でもやっぱり日本の速度は遅いので、そこでガツンと言ってくれる政治に期待してしまう部分もある。

篠原:おときたさん、期待されていますよ(笑)

おときた:結局政治とかメディアもそうだが、国民のレベル以上にはならないというのが大前提にあると思っている。

篠原:国民の方がレベルが高いということ?

おときた:結局国民が求めるものを報じているだけということ。メディアは視聴率が取れるから報じる訳である。でもこれには1つカラクリがあって、テレビというものは特に若い人はあまり見なくなっている。見ているのは団塊世代、団塊ジュニア世代位まで。彼らのマーケットに合わせると、感動を呼び、僕らも苦労してきたんだからお前らも苦労しろ、このやり方で日本を強くしてきたんだという価値観の押し付けが好まれる。民意のレベルは今そこに合わさっている。

これはテレビと選挙も全く同じで、投票率は40代50代のボリュームゾーンが圧倒的に多くて、20代30代の常識は我々は受け止めづらいという状況にある。
結論から言えば20年経てば変わる。今の上の人達がいなくなれば。ただ、それまで日本はこのままで良いのかということが大きな問題で、変化を加速させていくためには何が必要かということを常々考えていく必要がある。

政治の世界におけるヒエラルキー

おときた:少し話が脱線するが、僕は女性活躍を推進したくて政治の世界に飛び込んだ。まず若い男性が虐げられていることがわかった。3階層あって、トップがおっさんの男性、次がおっさんでない男性、そして女性、こういったヒエラルキーができていて、まずはトップを下に落とさないとどうにもならないという現実に直面していてまずはそこかなと思っている。

勝部:それと似た話で思い出したが、歌舞伎を誕生させたのは出雲阿国(いずものおくに)という女性だと言われている。それがいつの間にか色っぽいからという理由で女性が禁止になった。すると今度はイケメンがやりだした。でもそれも色っぽいという理由で禁止になり、結局野郎歌舞伎でおっさんがやるようになった。これも戻そうと思えば2段階踏む必要があり、まずはおっさん歌舞伎にイケメンを入れて、その次に女性も入れる。2回巻き戻さなければならない。

おときた:2段階革命が必要。いきなり女性というより、まずはおっさんじゃない男性から理解を深めていくことが今の政治には必要かなと感じる。

勝部:まあ、同時にやってほしいですよね。

篠原:女性側からしたら、「なんで男の方が先なの?」と思ってしまう。

おときた:それはその通りなんだけど、現実問題としてはそんな感じで、男性であれば良い訳ではなく、「おじさんかつ男性」しか今は権力を持っていないのが現状。

テレビも同じで、実はテレビ業界は取締役に女性が1人もいない。こんなに女性活躍だなんとか言ってるのに。要は意思決定権を男性が9割以上持っている訳なので、女性目線で企画を上げても弾かれている状況。まずはそこの権限委譲を進めていく必要があると考えている。

クオータ制について

勝部:先程の反転の話に戻るが、実は私はそこの所を楽観視している部分がある。
理由は今はグローバル社会だから。たぶん日本が反転したらいろんな国からフルボッコされることになる。東京医科大学の件も、いろんなところからフルボッコにされて、それでようやく気づく人たちもいるから多少その辺を使っても良いのかなと思う。例えばクオータ制をポンっと導入して政治の世界を強引に進めるのもアリじゃないかなと思っている。これが反転して逆クオータ制が生まれる可能性は日本ではあり得るかもしれないが、その前に海外から「日本は何やってんだ」という声が届く。結構日本は海外からどう見られているか気にして報道するような番組もたくさんあるので、そこが抑止力になるのかなと思う。

篠原:ちなみにクオータ制についておときたさんの考えは?

おときた:僕はクオータ制については割と賛成の立場です。パリのパリテ法や男女のペア選挙までやっていて、男女セットで出て当選する仕組みによって必ず男女が50:50になっている地方議会が実際にある。非常に興味深いと思っている。国単位だと難しい部分もあるが、地方都市で導入することはできるので実験的にどんどんやっていった方が良いと思う。ただ、そういったスモールスタートでやっていかないと、一気にいった時に反動が怖い。グローバル化は勝部さんの仰るとおりだとは思うが、僕らが見ているグローバル化はまだやっぱり欧米。イスラムの国とかインドのヒンドゥー教の人まで全部巻き込んだ時にどういう化学反応が起きるかは未だ未知数なところがある。最悪のクラッシュを防ぐことがミッションだと考えるともう少し熟議をしながら絶対反転しないところまで持っていきたいなと個人的には思う。

篠原:反転しないところまで土台を作ってからやりたいということですね。

おときた:100%までとは言わなしそこは程度問題。
組体操の話もやっぱり徐々にきて、もうどうしようもないよねっていうある程度の所まで来た時に一気に行って、たぶん甲子園もそのラインまで来ている。企業のCMの問題も徐々にそのタイミングが近づいてきていて、8割位の人が問題だと感じるようになればもう反転できない。そこまで持っていくためには地道にこういったイベントを開催したり、政治家も街頭活動で訴えたりとか、そういった活動が必要だと思う。

影響力を与えられるかどうかがポイント

篠原:1つ疑問に思ったんですが、組体操とか甲子園とかは人の命に関わる問題。でも女性がジェンダーバイアスで損をしても命の危険性はない。それでもやっぱり(組体操とか甲子園と)同じ流れに乗れるものなのか?

おときた:乗れると思う。後は例えばサイボウズの青野社長が夫婦別姓訴訟をしているが、ああいった象徴的なイベントは必要だと思う。
炎上CMに対しても、もし集団訴訟が起これば企業は訴訟リスクを抱えたくないので作らなくなる。企業は売れなくなることが死に値するので、それだけの影響力を与えられるかどうかがポイントになるのかなと思う。

質疑応答

篠原:私たちは今過渡期にいる。ジェンダー平等社会が理想的だと分かっていても実現できないのは、おときたさんが仰っていたようにお年を召した議員の方が権力を持っているという状況がある。でもその方々がいなくなるまで時を経なければならない。私たちは今間にいるから結構しんどいのかなと思う。自分は今30代だが、あと20年でガラッと変わる可能性もあまり無いように思ってしまう。若い方たちにはどうふるまっていけば良いか等色々考えてほしいと思って、こういうイベントを開催している。このトークセッションに対して、意見や感想等あればお願いします。

参加者:以前広告代理店にいたことがある。やはりCMはマーケットの意見を反映して売れるもの。なので今日紹介された炎上CMは確実に共感している日本人がたくさんいるということ。私の周りにママがたくさんいて、あのメ◯ーズに出てくる母親のような状況の人が多い。自分自身はあのCMにはちょっと違和感を感じるが、共感する人も多いんだろうなと思っている。
先日、結婚相談所に勤務されている方と話す機会があった。婚活において結婚に結びつけるために必要な要素として、男性は100%年収、女性は年齢と容姿、35歳以降になると大変厳しくなり、40歳を超えると条件を見直さないと難しい。お見合いの時は男性は女性がトイレに立った時に会計を済ませる、スタバでの割り勘などは絶対に禁止だと伝えている。女性には花柄など明るい色のワンピースを着てもらうことを勧めているとのこと。これが現実なんだと思う。日本人は実際、ジェンダーギャップがある事を喜んでいる傾向も事実としてある。楽しんでいる人もいるし違う人もいる。最終的に何が大事かというと、いろんな価値観の中で自分の価値観を確立させること。メ◯ーズのCMに対して紙おむつを使うこと自体がダメで布おむつでなければというママもいる。そういう人たちからは紙おむつを使うこと自体を楽してると言われる。議論をやりだしたら否定されることしかなくなる。そういう時に「自分はこういう生き方をするんだ」というレジリエンスや自己肯定感の強化というところがこれからは大事になってくるのかなと思う。花柄のワンピースを着ろと言われても「私は紺のワンピースでかっこよく行きたい」というような強さを持つことがすごく大事なのかなと感じた。

おときた:非常に本質的だと思う。僕も政治家として目指す社会は「オプションが多い社会」と謳っている。選択肢の多い社会が一番良い。これがダメあれがダメだではなく「それぞれが良い」が良い。僕が規制に対してネガティブになるのは、これはダメではなく、そういう考え方もあるけれども私は私といったどちらも認め合えることが一番の理想な社会だと思うから。
自分らしく生きることを否定せず好転換を持たせていく社会を作るということは非常に大事だと思っている。

篠原:他人の選択を応援できるかどうかがすごく大事。今は対立になってしまうからこういう問題が起きる。
ジェンダーギャップがあるから喜んでいる人がいることは事実。でもそういった人を否定しないためにはまず自分を肯定することが大事なんだと思う。

勝部:ちょうど昨日、婚活アカウントをチェックしていた。確かに非常にジェンダーロールが激しくて、「男性はヒーローでいたい」とかまるで平成の最後の夏に昭和のドラマを見ているような世界観だった。実際そういう世界観を推奨している雑誌も多い。でも翌々考えてみてほしいが、それで結局少子化が改善した国はどこにあるのか?実績を出した国がやった事は真逆で、例えばフランスだったら結婚制度しかなかったのをPACSというパートナーシップ制度を用意したことで、今まで結婚制度になんとなくマッチしていなかった人達がドバっと押し寄せた。スウェーデンでも同じようにサンボという制度を用意した。選択肢を用意することは大事だと思う。日本の場合、マジョリティの価値観や一番良いものしか選ばれない傾向にある。花柄のワンピースを着たら、男性100人中11人が良いと言うかもしれない。紺という人は3人位しかいないとする。でもマジョリティである花柄だけが大正解扱いをする。これに沿っていないからあなたはダメだとかいう話になってしまう。年齢とか相手の背景を気にしない人も実際にはいるはずだが、筆頭意見ではないから無視される。筆頭意見だけがピックアップされてこのレールに従えという雰囲気の社会が問題だなと思う。こういう社会を変えていきたい。

篠原:ありがとうございました!!!


いかがでしたでしょうか?
メディア規制と表現の自由、相反する意見の持ち主が討論することで考えさせられることも多く、非常に多くの学びがありました。
来場者のみなさまにも満足していただけたようです。

勝部元気さん、おときた駿さん、有意義なトークセッションをありがとうございました!!!

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