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諸外国における女性の社会進出–どうなる日本?


くるみ
こんにちは!ジェンダーイコールの篠原くるみです。
前回、田渕さんが、ジェンダーギャップの小さいイメージの強い北欧における高福祉的社会構造と宗教の関係性について歴史的観点から執筆してくれました。今回は、わたくし篠原が数々のジェンダー関連本を読みあさるなか、欧米諸国ではなぜ日本に比べて女性の社会進出が進んでいるか、もっとも腑落ちした仮説をご紹介します。

理念や啓蒙では社会は変わらない!

社会を変えたくて活動を始めたわたし達にはちょっとショッキングですが笑
現実主義のわたしとしてはものすごく納得したのが、海老原嗣生氏著の『女子のキャリア』の一節です。

各国それぞれのやむにやまれぬ事情があり、そうした社会背景が、女性の社会進出を後押しした、というのが真相ではないでしょうか。

やむにやまれぬ事情とは???
どういうことか各国を例に見てみると、

      スウェーデンの場合:戦争の被害がほとんどなく、戦後復興期に工場がフル稼働に。かつ、高福祉社会を維持するための慢性的な人手不足から女性の労働力が必要に。結果、女性が社会進出。
      ノルウェーの場合:スウェーデンの例+北海油田の開発により、超好景気→財政が潤った。女性活用促進に公的資金を投入することができ、さらに女性が社会進出。
      フランスの場合:もともと男尊女卑の志向が強いお国柄だった反動で、女性運動が活発に。事実婚が増え、少子化が急激に進行。危機感を抱いた国が結婚しても子供を産んでも働けるという政策を実施。結果、女性が社会進出。
      オランダの場合:景気低迷に際して男女問わずワークシェアリング的働き方が浸透。相対的に女性が社会進出。

人手不足だったり、逆に超不況だったり、超少子化だったり、もう国がどうしようもないー!となったときに女性が社会に出ていっているということですね。

日本も戦争中なんかは男性の働き手が少なくなったことで一時的に女性が社会進出したようですが、その後の経済成長に伴って逆に家庭に押し戻されてしまった。しかもこのとき、ある意味天下を取ってしてしまったがために、高度経済成長期=性別分業つまり『男は仕事、女は家庭』をしていた時代が『良き時代』とされ、未だにその価値観から抜け出せないというタチの悪さ。

この辺は国力の切羽詰まり具合がヨーロッパと日本ではぜんぜん違うってことなんでしょうねぇ。世界の人口調べてみると、北欧なんか日本の10分の1もいないんですね。
オランダの例はものすごく特殊ですね。女性が社会進出したというよりは、男性が部分的に社会から撤退したという感じでしょうか。夫婦それぞれが週休3日なら、保育園とか入れなくても自宅保育でなんとか子育てできるというからある意味合理的ですよね。お金の心配はつきまといそうですけど、みんなそうやって生きていけてるわけで。不況が原因ということもあり、リスク分散としての意味合いもありそうですね。何より、しっかり家事育児シェアできて、長期的に見て良い夫婦関係が構築できそう。

ともかく、いま日本は女性輝けとかなんとか言ってますけど、他国の経緯を見ると、そういう啓蒙活動ではなく、働き手を増やさないと本気で困るとなったときに、女性の社会進出が進むということだそうです。

要は、理念や啓蒙で社会は変わらず、それよりも、経済要因や社会要因が重なり、女性が働くことへの要望が高まったときに、社会は変わる

と海老原氏は言っています。

『女子のキャリア』


女子のキャリア―“男社会”のしくみ、教えます (ちくまプリマー新書)
『雇用のカリスマ』と呼ばれる海老原氏。本書はわりとライトな語り口で、これから社会に出て行く若い女子とか若手社員に、会社というものはこんなに男社会なんだけど、現実的にはこうやって乗り切っていこうね〜的なアドバイスをしてくれます(引用した諸外国の女性進出の件は、本書の本質ではなく余談的な部分です)。
ちなみにわたしはこういう老婆心的な本が大好きです笑
海老原氏はどちらかというと楽観主義的な考えのようで、『日本は欧米諸国と比較して社会構造の成り立ちが20年ほど遅れている』『なので、そう遠くない将来、ジェンダーギャップは今の欧米並みになるだろう』と予測されています。

『働く女子の運命』


働く女子の運命 ((文春新書))
それから、もう一冊ご紹介させてください。労働経済学者の濱口桂一郎氏の『働く女子の運命』。上野千鶴子先生の帯で即買いです。
海老原氏と濱口氏は親交が深いようで、お互いの著書で引用しあっていたり、対談されたりしています。
『女子のキャリア』と同じく働く女性がテーマなんですけど、こちらは戦前から今現在まで気の遠くなる程長〜く、そして根深〜く構築されてきた、労働市場における壮大なる女性差別について論じられています。
半端ない根深さである意味絶望すら感じます。怒りを感じずにはいられませんが、歴史を知ることは今を知り未来をつくることだと思うのです。オススメです!

どうなる日本!

海老原氏と濱口氏。『労働研究のプロ』です。
今回、女性の労働について書かれた著書についてご紹介させていただきましたが、本来は老若男女関係なく、幅広く労働について研究され、本もたくさん出されている方々です。
お二人とも男性ですが、そんなプロ中のプロも『(少なくとも現在の)日本の労働市場のジェンダーギャップはヤバイ』と感じているということですよね。

さあ、日本はどうなるのでしょう?
理念や啓蒙では社会は変わらない。社会構造の変遷を見守り、ジタバタせずに少しずつ起こる変化を待つ。確かにそれも正しいかもしれない。
でもきっとどこかにその流れを速めるような、個々の意識の持ちようもあるのだろうと思います。わたし達ジェンダーイコールも、その触媒となれるように、活動を進めていきたいと思っています!

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