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【ご報告】NPO法人の申請をしてきました!

こんにちは。ジェンダーイコールの田渕恵梨子です。

昨日、当団体のNPO申請をしてきました。
今後3ヶ月以内に申請結果が出ますので、無事に認証されれば10月から「特定非営利活動法人ジェンダーイコール」として活動してまいります。

わたしたちは「男は仕事、女は家庭」に代表されるような、社会に根付く固定的な性別役割意識に疑問を投げかけ、

  • 性別にかかわらず「仕事と生活の調和」を図れる社会
  • 誰もが個々の能力を存分に発揮して自由に自分らしく生きることができる豊かな社会

このような社会づくりを目指します。

理事の構成は以下のとおりです。

代表理事 田渕 恵梨子
副代表理事 篠原 くるみ
理事 大井 由美
理事 Lin Sun
監事 樋口 道子

とご報告はここまでとさせていただき、今回はNPO申請において当団体ならではの3つのトリビアネタを書きたいと思います。

1.旧姓って使えるの?

私(田渕)を含め、当団体の半数のメンバーは旧姓を使用しています。
ダメ元で都庁に確認したところ、なんと書類全てにカッコ書きで新姓を入れれば旧姓使用OKという回答が!
超喜んで、全ての書類に「旧姓(新姓)」−−−私の場合は「田渕恵梨子(鈴木恵梨子)」−−−で統一して書類を整えたのですが、
提出直前に1つ疑問が浮上。「捺印は旧姓で良いのか?」
都庁に電話して確認したところ、なんとそもそも最初の回答が誤っていたらしく、

”「旧姓(新姓)」ではありません。住所確認書類の姓と合わせる必要があるので「新姓(旧姓)」が正しいです。印鑑ももちろん新姓でお願いします。”

と言われてしまった。。。( ̄△ ̄;)エッ・・?
全然意味合い違うし。考えてみれば選択的夫婦別姓すら認めないこの国が、登記に関わる話で旧姓をメインに使うことを許容するはずがないんですけどね。。。とはいえ、そう思って前回「旧姓(新姓)」OKがにわかに信じがたく何回も確認したのに。。。正直、軽々しく間違えないでほしかったです。
これ以上は愚痴になるのは控えます^^;ただ、1つだけ言えることは、旧姓を併記できるようになったのは平成27年2月27日からだそうです。詳しくはこちら。なので少しずつ進歩はしているということですね。何事もポジティブに考えたいと思います。

という訳で回答は、「旧姓メインの表記はNG。新姓(旧姓)の表記であればOK。」となります。

2.外国籍の人や海外居住者は理事になれるの?

結論から言うと、外国籍の人も海外居住者も理事になれます。
当団体では、理事のLin Sunは中国籍、監事の落合 道子は日本国籍ですがイギリス在住です。(住民票もイギリス)
それぞれ、居住国の公的機関が発行した住所証明書類1種類もしくは海外の自宅宛に届いている郵便物が2種類あればOKとのことでした。
ただ、外国籍もしくは海外居住者が代表理事になる場合は少し厄介かもしれません。申請が認証された後に行う登記は通常、代表理事名義で行うためです。
詳しく確認はしていませんが、さすがに登記となると自宅宛の郵便物でOKしてもらえるとは思えません。
ですので、もし外国籍もしくは海外居住者の方が代表理事になろうとしている場合は、事前確認が必須です。

3.海外居住者の住所確認書類は原本が必要?

申請時は少なくとも複写でOKとのことです。写メでもA4サイズになっていればOKとのことでした。
但し、登記の際は原本を用意してくださいとのことでしたので、申請期間の間に原本を手配しておきましょう。

さいごに・・・

いかがでしたでしょうか?
最後に都内在住者限定になりますが、申請内容の相談先について書いておきましょう。
NPO法人の申請先は「東京都生活文化局都民生活部管理法人課NPO法人担当」になります。
ですが、こちらでは書類の整合性チェックしかしてもらえません。認証手続きも都庁で行う手前、アドバイスができない立ち位置にあるからです。
もし申請内容(例えば、予算についてなど)について相談したい場合は、飯田橋にある「東京ボランティア・市民活動センター」をお勧めします。
■東京ボランティア・市民活動センター

電話番号は03-3235-1171です。こちらには、公認会計士や弁護士などの専門家が常駐しており、予約をすれば無料相談に乗ってもらえます。電話相談であれば予約も不要です。(専門家が不在の場合もあります。)
これからNPOの立ち上げを検討されている方は、ぜひ利用してみてくださいね。

それと、東京都 NPO法人ポータルサイトは東京都が運営しているNPO法人に関連する情報を提供しているサイトです。「ガイドブック」というリンクをクリックすると、「NPO法人認証制度にかかる概要、手続についてのガイドブック」をダウンロードすることができます。このガイドブックに申請書類の設立認証申請手続から認証後の手続(設立の登記等)までの情報がかなり詳しく記載されていますので、一番最初にひととおり読んでおくことをお勧めします。

果たして、私たちの申請内容は無事に認証されるのでしょうか!?
結果が出たら、またこちらでお知らせしたいと思いますので、お楽しみに!
それではまた!

「奥さん」以外の呼び方を考えませんか?

こんにちは。ジェンダーイコールの田渕恵梨子です。

「奥さん」
みなさんは普段、この呼び方に対してどう思われていますか?

以前、当サイトの第8回座談会「配偶者のことをなんて呼ぶ?」では、主に男性配偶者に対する呼び方について取り上げました。
今回は女性配偶者に対する呼び方について考えてみたいと思います。

「奥さん」の由来

奥さんという呼び方は語源由来辞典によるとこのように説明されています。

奥様の「奥」は、入り口から離れた場所が原義で、その意味から、奥にある建物や部屋をさすようになり、そこに住む住人も意味するようになった。
「大奥」という言葉もあるように、奥に住むのは女性で、もとは公家や大名などの妻の敬称として使われ、身分の高い人の妻をいった。
のちに、武家や富商でも使われるようになり、一般にも広く用いられるようになった。 「奥方」も同じく、奥の方に住む人の意味からである。

また、日本語〜気になるあの語源では、このように説明されています。

ちなみに、「夫人」「奥さん」も高貴な身分な女性を指す言葉が由来。
夫人は天皇の御妻(みめ)の1つ。皇后、妃に次ぐ第3の地位の女性で、それが後に貴族の妻、さらに現在では他人の奥さんに対する敬称として使われています。

「高貴な身分の女性を指す」と言われても、違和感満載です。
日本の歴史では、北条政子や江戸時代の大奥など、一部の女性は権力を持っていたかもしれませんが、基本的に政治の表舞台に立つのは男性だったと思います。(現代の日本でもそうですが・・・)
権力のある血縁者や男性配偶者がいて初めて女性が「高貴な身分」を勝ち取れる時代。
性別役割が当たり前に根付いている社会から生まれた言葉だと思っています。

「奥さん」への抵抗感

私は普段から「奥さん」と呼ばれることにものすごく抵抗があります。
奥になんていません。日々社会の第一線に立っている意識で仕事に取り組んでいます。
そして世の女性にはどんどん社会で男性と対等に活躍してほしいと願っています。
「奥さん」という言葉は、「男性と対等に」という思いを邪魔してしまう気がするんです。
その言葉を使い続けることで、知らず知らずのうちに言葉に甘えてしまい、時には都合よく逃げてしまうように思います。
「私は奥さんだし。」とか「本来は主人がやることだし。」とか。。。
逆に主人と呼ばれる男性側からすると「自分は主人なんだからがんばらなきゃ。」等、無意識のうちにその言葉の呪縛に囚われて自分を追い詰めてしまう可能性もあります。

「奥さん」以外の呼び方が無いことに気づいた

という訳で、「奥さん」という言葉に差別意識を感じるので、できる限り使用を避けたいと思っています。
ですが、、、他に呼び方が無いんです(泣)
例えば、仕事でクライアントの家族構成をヒアリングする機会がたまにあるのですが、相手が既婚男性の場合、「奥様は・・・」という言葉は避けて通れません。
「配偶者様はどんなお仕事をされていらっしゃいますか?」とか言っても絶対「はぁ?」って思われますよね(汗)
で、結局使ってしまうんです。「奥さん」、「奥様」を。。。
使いたくない私にとっては言葉の拷問です。
女性配偶者の呼び方で誰にでも伝わる言葉ってこれ以外に無いですよね?

この呼び方を変えていきたい

「奥さん(奥様)」と「ご主人」。
この呼び方、そろそろなんとかしませんか?
我々は新しい時代に生きています。もうこの言葉達は明らかに古い。時代に合っていない。
将来、今の子ども達にも同じ疑問を持たせるなんてゾッとします。
私たちの世代のうちに「奥さん」や「主人」の言葉を一掃して、時代に合う言葉を浸透させたい。
一番の問題は、今の日本に代替用語が無いこと。
撤廃以前に、回避できる言葉を作って浸透させることが先決だと思っています。
みんなで代替用語案を考えてみませんか?
もし良い案があれば、ぜひこちらのコメントに投稿してください。
私たちジェンダーイコールのメンバーでも案を出し合っていきたいと思います!

育児は仕事の役に立つ「ワンオペ育児」から「チーム育児」へ【書籍紹介】

こんにちは。ジェンダーイコールの田渕恵梨子です。

私は独身時代から仕事大好き人間でそれなりに仕事をこなしてきたと思っていますが、産後復職をしてからは、それまでとは比べ物にならない位、仕事のスキルが上がったと自負しています。
理由は間違いなく「仕事と育児の両立」です。

私は第1子の妊娠が発覚する直前、諸事情により前職を退職していましたが、産後半年を過ぎた頃に知人が経営する会社で求人を募集していることを知り、真っ先に手を挙げて就職させてもらいました。前職と同じIT業とはいえ、仕事の中身は全く別物。初めての育児に初めての仕事で毎日無我夢中で突っ走りました。あっという間に1年が過ぎ、ちょうど仕事にも慣れてきた頃に第2子を妊娠。ギリギリまで働きました。そして産休・育休中にも少しでも仕事に関わっていたい私に社長が与えてくれた仕事を産後1週間で再開しました。第1子の出産時には考えらないモチベーションです。それから私は更に仕事のスキルが上がっていったと思います。
仕事・育児・家事三つ巴で溢れかえるタスクの処理能力。全てをうまく回すための状況判断能力。クライアントとの重要な打合せと子供の発熱がバッティングした時に切り抜ける危機管理能力。育児の経験で仕事のスキルが向上したことは間違いありません。我が子には心より感謝です。

「育児は仕事の役に立つ」

そんな私ですから、この本を見つけて即買いをしたのは言うまでもありません。
本書の筆頭著者である浜屋祐子さんは、銀行、人材ビジネス、民間教育ビジネス勤務を経て、更に2人のお子さんを育てる傍ら、「育児経験がビジネスパーソンの仕事や能力形成に与える影響」を探求したいという思いで東京大学大学院という難関の入試を突破。人材開発の研究者である中原淳准教授のゼミ生となり、2年半に及ぶ研究の末に本書の出版に至ったそうです。

構成は中原さんと浜屋さんとの対話形式になっています。お2人とも育児経験をされているので共感ポイントが満載です。特に中原さんの父親視点での両立の苦悩は貴重な意見だと思います。中原さんは第2子の育児スタート直後、プチ鬱気味状態になったそうです。人材開発の研究者でさえもそのような状態になるんですから、世の一般的なお父さんたちにとってはかなりの励みになるのではないでしょうか。

本書は借りられる手があればいくらでも巻き込む「チーム育児」がいかに重要で仕事のスキル向上につながるかを具体的に説明しています。
ぜひ子育て世帯の方に読んでいただき、両立の重要性について理解を深めていただければと思います。

章の構成

第1章 「専業主婦」は少数派になる!?
第2章 「ワンオペ育児」から「チーム育児」へ
第3章 チーム育児でリーダーシップを身につける
第4章 ママが管理職になると「いいこと」もある
第5章 なぜママは「助けてほしい」と言えないのか
第6章 日本の働き方は、共働き世帯が変えていく

著者紹介

浜屋 祐子(はまや ゆうこ)
研究者。
国際基督教大学教養学部卒業後、企業勤務を経て、東京大学大学院修士課程修了(学際情報学)。
現在は経営教育事業に携わるとともに、はたらく大人の学びに関する研究を続けている。
著書:「アクティブトランジション働くためのウォーミングアップ」(共著、三省堂)、「人材開発研究大全」(共著、東京大学出版会)

中原 淳(なかはら じゅん) 東京大学 大学総合教育研究センター 准教授。東京大学大学院 学際情報学府 准教授(兼任)。大阪大学博士(人間科学)。
北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員等をへて、2006年より現職。
近著:「企業内人材育成入門」(ダイヤモンド社)、「ダイアローグ 対話する組織」(ダイヤモンド社)、「リフレクティブマネジャー」(光文社)、「学びの認知科学事典」(大修館)、「経営科学ハンドブック」(中央経済社)、「学び学(近刊)」(東京大学出版会)、「デジタル教材の教育学」(東京大学出版会)など。

「さんすうセット」記名地獄に疑問

こんにちは。ジェンダーイコールの田渕恵梨子です。

先日、長男が小学校に入学しました。
入学式当日、学校からこちらの「さんすうセット」が支給されました。

中身はこんな感じです。

おはじき1つ1つ、計算棒1本1本の細部にまで名前を書く必要があるとのお達しです。
たまたま知人から入学祝いにいただいたお名前シールを見たら、なんとさんすうセット用のシールが!!!
おはじきや計算棒に合わせたサイズ展開があり、ラッキー♪と思い作業を開始したところ、、、
これが思いの外苦戦。( ̄◇ ̄;)
「シールをピンセットでつまんで極小のおはじきに貼る」という作業ですが、2段階で苦戦ポイントが。
まずは「シールでピンセットをつまむ」これが意外に難しい。そして「極小のおはじきに貼る」これは手がぷるぷるしてなかなかきれいに貼れません。
おはじき29枚、計算棒80本あったのですが、これだけで軽く1時間位かかってしまいました。
そして、他にもブロックやカードなど、記名対象はまだまだあります。
さんすうセット1箱の記名は2時間は見ておいた方が良いでしょう。

ここからは本題です。
私は親として子供の持ち物に対する記名作業は義務だと思っています。
ですが、このさんすうセットに関しては、全国の小学生の親が毎年毎年2時間もかけて経験する必要が本当にあるのでしょうか?
「さんすうセット 名前書き」でググってみると、”小学校の洗礼”やら”一度は通る関門”やら世の親の悲鳴ページが続々と出てきますが、こんな洗礼を素直に受けている場合ではない気がします。だから日本は生産性が低いと言われてしまうのです。
ワークライフバランスが叫ばれている昨今、共働きで忙しい両親が子供と触れ合える貴重な時間にこの作業で2時間も費やすことこそ改善するべきではないかと思い立ち、本記事を書くことにしました。

全国のさんすうセット利用児童の数

政府統計の総合窓口「e-Stat」の【小学校】学年別児童数によると、平成27年度の小1児童数は1,082,770 人、平成28年度は1,066,375人となっています。
児童数は少子化の影響で年々減っていますので、直近の平成28年度をベースに100万人で設定しましょう。
そのうち、さんすうセット利用児童は7割の70万人と仮定します。

全国でどの位の負荷を生んでいる?

上のお子さんのお下がりを使用している児童もいると思います。
ですので、70万人から更に2割程度引いて、キリの良い50万人の親がさんすうセットに記名していると仮定します。
前述しましたが、さんすうセットの記名には平均で2時間位かかります。
50万人×2時間で100万時間、かかっていることになります。
100万時間とは一体どの位の時間でしょうか?
1年は24時間×365日で8760時間です。
年数に換算すると、100万時間÷8760時間=114年間!!!
1人が50万人分記名をすると114年間もかかるという訳です。
毎年毎年この膨大な時間をさんすうセットの記名に費やしているなんてもったいなくありませんか!?
この時間こそ子供と触れ合う時間にシフトさせるべきではないでしょうか?

改善案

文句ばっかり言っていても仕方ないので、3つ改善案を考えてみました。

  1. 製作工場側で記名システムを導入
  2. 現代のIT化社会においては、1セットずつ予め登録された名前を全ての部品に記名するシステムはそんなに難しいことではないと思います。
    例えば、入学1年前あたりに各家庭がウェブで記名申込を行い、工場側で記名処理を行い、学校単位で発送する仕組みを構築するのはどうでしょうか?
    工場側の生産効率は若干下がってしまうかもしれませんが、そんな仕組みを持っている工場であれば、受注数がうなぎのぼりだと思います。

  3. 学校側の備品として取扱う
  4. 番号などで管理すれば、毎年使いまわせると思います。
    但し、記名や紛失、改定部品の補充作業等は学校側の負担となるため、そこはアウトソース等の仕組みの検討が必要ですね。

  5. 記名アウトソースの仕組み構築
  6. 追加費用がかかっても良いので、記名をアウトソースしたいと思う人も多いと思います。
    シルバー人材とか刑務作業とか、こういった作業は引き受けてもらえないものでしょうか?

まとめ

いかがでしょうか?
昔の習慣にいつまでも囚われる必要はありません。
親も学校も工場も進化していくべきです。
仕事と育児を両立していると、本当に毎日時間があっという間に過ぎてしまいます。子供の持ち物に記名をする行為は親として当然の義務だとは思います。しかし、なんでもかんでも学校側から言われるがまま疑問を持たずに記名を続けるのはどうかと思います。改善すべき点は声を出して未来につなげていくべきではないでしょうか?
今後も気づきがあればこちらに書いていきたいと思います。

「福祉」という概念の違いは宗教が影響している!?

こんにちは。ジェンダーイコールの田渕恵梨子です。

みなさん、子育て政策に充実している高福祉国家といえば、スウェーデンやノルウエーなどの北欧諸国を思い浮かべませんか?そしてフランスはここ10数年で結婚や子育ての価値観が急激に革新し、アメリカは低福祉・低負担の自己責任意識を貫き、日本や韓国は未だに家族主義の思想から抜け出せていない印象を受けます。

私はこの問題は従来の固定観念から脱却できるかどうかが論点だと考えていました。
ですが、柴田悠氏著「子育て支援と経済成長」によるとおもしろいことが書かれていました。

福祉の概念が国のエリアによって差が出ている点に着目し調査した結果、宗教の歴史が大きく関わっていたそうです。
とても興味深い内容だったので、こちらでご紹介したいと思います。

ドイツの神学者「マルティン・ルター」について

みなさんは、ドイツの神学者である「マルティン・ルター(1483年~1546年)」についてご存知でしょうか?
私は知りませんでした(汗)。
ルターは、当時ドイツ国内でカトリック教会が教会の運営や貧しい人々を助けるための資金稼ぎとして盛んに販売していた贖宥状(それを買えば罪の償いが軽減される)に対して疑問を抱き、教会主導ではなく「住民の共同基金による救済」を発案した人物です。

時は16世紀のヨーロッパ。当時、カトリック教会は「これを買えば天国に行ける」と贖宥状(しょくゆうじょう)=免罪符をたくさん発行していました。

そもそも立派な教会を建てるカトリックは、財政難に陥りがちでした。また、病人や貧困者を救護院(ホスピタル)に収容して救済する「チャリティー」(慈善活動)にも、お金がかかります。そこで、贖宥状を販売し、信者から差し出されたその寄付金で貧しい人を救うという、いわば一種の社会保障を、カトリック教会が宗教的な活動として行っていたのです。

この贖宥状の発行を批判したのが、ドイツの神学者マルティン・ルター(1483〜1546)でした。ルターは貧しい人を救うことは善しとしていましたが、贖宥状の発行には反対の立場を取っていました。というのも、「お金を払って贖宥状を買えば、天国に行けますよ」というカトリックの教えは、「神の心はお金で買える」ことを意味しているからです。人間が作ったお金というものに心を動かされてしまう神など、ほんとうの神ではない、だからカトリックの教えは間違っている。そうルターは思ったのです。

〜中略〜

そこでルターは、発想の転換をしました。
つまり、貧しい人を救う活動は教会が行うのではなく、住民たちがお金を出し合って作る共同基金によって行うべきだ、と提案したのです。
そしてその基金を使って、働けない貧困者・病人・孤児の生活保障(現金給付・現物給付)や、語学教育・職業訓練(サービス給付)までも行うべきだと提案したのです。西洋史上類を見ないこうした公的基金による給付型の貧民救済策によって、ルターは、カトリックがそれまで行ってきた貧民救済と、教会とを切り離そうとしました。

ここからルター派宗教改革が広まります。

こうして北欧は高福祉国家になった

ルターはドイツ人でしたが、ちょうどその頃、スウェーデンの神学者がドイツに留学しルターを師事して改宗した後、スウェーデンに帰国しています。詳しくは割愛しますが、その神学者の主張が当時のスウェーデン国王に擁護され、国内全土で宗教改革を推し進めた結果、カトリックが姿を消し、ルターの教えが全国規模に拡大したそうです。現代の公的な給付型の社会保障制度は16〜17世紀にこのスウェーデンから始まり北欧諸国に広まったのです。
ルターはドイツ人だったと述べましたが、なぜドイツでは広まらず、北欧諸国でのみ拡大したのでしょうか?
その要因の1つとして、地理的な要因があるようです。

つまり、北欧は、カトリックの本拠地イタリアから、「遠く離れていた」ということです。距離がある上に、間にバルト海まで挟んでいますから、北欧諸国の国王たちは比較的好きなことができたのでしょう。

う〜ん、なるほど。私の勉強不足を露呈しますが、初めて知った歴史です。
こうして北欧諸国に高福祉の考えが浸透し、現代まで受け継がれるようになりました。

低福祉国家・アメリカ

次にアメリカを見てみましょう。
ルターの宗教改革後に、さらにもう1人の宗教改革の立役者として登場したのが、フランス生まれの神学者「ジャン・カルヴァン(1509〜1564)」です。今日はルターの存在を詳しく書きたかったので、カルヴァンについても割愛しますが、超ざっくり言うと資本主義の精神を普及させた人物です。

もともとイギリスでのカルヴァン派による宗教改革によって誕生したイギリス国教会は、カトリックの本拠地イタリアが近く、政治的な影響もあったため、カルヴァン派とカトリックの折衷案のような教義になりました。そのため、純粋なカルヴァン派の人たち(ピューリタン)は、イギリス国教会から弾圧を受けるようになったため、それを逃れて北米大陸に渡りました。彼らがそこで作った、世界で最も純粋なカルヴァン派の国、それがアメリカなのです。
純粋なカルヴァン派である彼らは、神の愛の兆候を確認するために、禁欲的な生活をしながら、利潤をどんどん再投資したいと考えていました。そのためには、利潤(所得)にかかる税率はできるだけ低いほうがいい。税率が高いと、そのぶん手取りが減って、再投資に使えるお金が減ってしまうからです。そのようなカルヴァン派の考え方が根底にあるために、アメリカは税率が低く、社会保障が乏しい低福祉の国になっていったのです。

こうして、アメリカはカルヴァン派によって低福祉国家になった訳です。

フランス、ドイツなどの西欧諸国

フランスやドイツはどうでしょうか?
カトリックの歴史の長いフランスやドイツなどの西欧諸国は社会保障はやや保守的な国家だそうです。

フランスやドイツなどの西欧諸国は、社会保障はかなり手厚いほうですが、北欧諸国と比べると、その比重は高齢者福祉に偏っていて、子育てはまだ家族(主に女性)に任されている部分があり、やや保守的です。とはいえ、これらの国は1990年代以降に女性の職場進出が急速に進み、それを後押しするように、子育て支援がだいぶ充実してきました。

とはいえ、昨今では多様性を受け入れた子育て支援制度が充実しています。特にフランスは、PACS法(パートナー制度)や同性婚の受け入れなど、昨今は現代モデルの最先端を進んでいる印象を受けますね。

イタリアなどの南欧諸国と中国・ロシア

カトリックの本拠地であるイタリアを含む南欧諸国はカトリック的伝統が強いため、それから中国やロシアは当時すでに共産主義的な家族システムが普及していたため、ルターやカルヴァンの思想は定着しなかったようです。
確かにこれらの国々は保守的なイメージです。

日本と韓国

最後に日本や韓国にも触れておきましょう。言わずと知れた男尊女卑の家族主義。当団体も未だに日本で女性の社会進出が思うように進まないことにジレンマを感じて立ち上げた訳ですが、なぜこんなにも他国に遅れを取っているのでしょうか?
日本に関しては、このようなことが書かれていました。

そもそも日本では、長い歴史のなかで、キリスト教やあるいはそれと同様の人類愛を軸とする宗教が、少なくとも江戸時代まではほとんど普及してこなかったからではないでしょうか。かわりに日本で長く信じられてきた宗教は、神道と大乗仏教でした。とくに、広く民衆の苦しみに寄り添ってきたのは、救済(慈悲)の教義が色濃い大乗仏教でしょう。
大乗仏教では、「生命はすべて仏性を持っていて尊い」(一切衆生悉有仏性)と考えられており、人間と動物を分け隔てしません。どちらも等しく尊いのです。ですから、「動物のことは無視して人間だけを制度で救おう」という考えがなかなか出てこなかったようです。

韓国は儒教の国として有名です。年長者を敬い、血縁優先、父系社会を軸とした、上下関係で秩序を守る風習が、今でも韓国の人々に根付いていると言われています。今では随分緩くなってきているとは聞きますが、この考え方だと子育ては女性という価値観が強いでしょうから、なかなか子育てに手厚い福祉といった考え方には近づきにくいのかもしれません。そして日本にも少なからずこの儒教の考え方が浸透していることも事実です。

まとめ

いかがでしたか?国毎に福祉の概念が違う点を全てこの宗教の歴史で片付けるつもりはありませんが、要因の一つではあるように思います。
ちなみに、もっと現実的な理由として、国の財政余力が影響しているといった要因もあります。こちらについては篠原さんが執筆してくれると思いますので、お楽しみに!